ペニスの文化史より、コロパニックとアフリカン呪術関連を抜き書き。

「コロ」は、民族精神医学的な中国の病気である。コロの語源は、マレー語で「カメの頭」「縮む」を意味する「クル」である。中国語では「縮陽(ルビ・スオヤン)」である。(中略)道教と中国医療に結びついた文化的影響が大きいようだ。民間信仰によって生まれた悩みが、地域全体に広まってしまうという社会的病気である。その下地となっているのは、マスターベーションをやりすぎると…「陽の気」を失ってしまうという通説である。

今日でも、アフリカからは「小さくする呪術」の話が伝えられてきた。アビジャンコートジボワール]では、ある呪術師が、男たちが気づかぬうちにペニスを三分のニも縮めてしまったという。(中略)一九八八年、これに腹を立てた二三人の漁師が、短くされたペニスを警官の前に突き出して、もとに戻してほしいと要求した。これは「コロ」(陰茎短縮を恐れる中国の神経症)の変種の病気の一種なのだろうか? アフリカの文化的背景が重要となる。実際、呪術師の力への信仰は、今日でも、口には出されないが、非公式に、社会生活のさまざまな側面で重要な役割を果たしているのである。