ちょっといい話

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469 :本当にあった怖い名無し:2007/12/26(水) 18:57:04 id:Av41y0k+0
なんだw変な盛り上がりだな
臨床検査ネタが出たので投下
臨床検査センターの会社に患者本人偶然来てしまったはなしがある。
 
Sさんという銀行の社員が出向で来た。
Sさんは失礼だけど当社には向かないくらいスンバらしい学歴の大学だった。
俺は集配ではっきり言ってトラック運ちゃんがでかい顔して医療関係者でえす☆とかこいてるだけ。
実質むずかしいお話なんざ知らん。
Sさんは東京の私大を出てた。はっきり言って田舎の臨床検査センターで何がしてえんだってことで皆興味しんしんだった。
Sさんが検体回収に研修としてついてきたとき、本人の希望で「○○病院の外来の至急が複雑で一度確認したい」てことだった。
Sさんが俺の車に乗ってきて色々聞く「Aさんはもう何年この会社で○○病院の検体を運んでますか?」「10年かな」そんな話した。
Sさんがラボに入るとみんな臨床検査技師はもじもじしだしたわけ。
Sさんがいなくなってから「Sさん、生きてたんだ」「うん、元気になってた」ひそひそ言う。
営業も涙目になって笑った「子供のときのあの検査はうちの社じゃ一番でっかい仕事だった」
「検体上がらないから死んだなんて思ったけど、あのときの子供生きてるなんてね」
ラボ内は盛り上がっていた。Sさんの本名はもの凄い特殊で恐らく同一人物もいない。
検査項目もうちみたいな田舎じゃかぶらない。

変な大歓迎をしたがSさんは「???」だった。
子供だったからわからねえか…


470 :本当にあった怖い名無し:2007/12/26(水) 18:57:25 id:Av41y0k+0
でも自分が運んだ検体の患者さんと一緒に病院行って検体回収の説明したりするのって滅多にないと思う。
技師長もすっ飛んできてSさんと握手を交わしたが「???」本人は全くわかってなかた。
本人にはこの事実を通知できないらしい?そういう決まりで。
でもSさんの検査に関わった社員やバイトはSさんと握手しに襲撃してた…
「ここの会社は握手が好きなんですねえ…外国みたい」
Sさんの当社での業務も数年し銀行へ帰ることが決まった。
俺はSさんの検体を10年はずっと運んだので記念が欲しくなりSさんに試験管を持たせて一緒に写真を撮った。
最後の日、Sさんから言われた「なんか…みんな会ったことがあるみたいだ」
「小さいころこの車に乗ってた記憶があるんだけど…」そう口篭もった。
「なんですか?気になるなあ」
そのまま立ち去ったのでSさんに聞くことはできなかった。
Sさんが手紙を俺にくれた。
「大将、お元気ですか?大将の車のなかや集配の鞄に記憶があるんです。研修中は助手席にいましたが
あの車から見える○○病院への景色は絶対見たことがある。でも俺はその道路を通ったのがあのときが
初めてです。あの会社のみんなは懐かしい気がしました。会社に行くと突然泣きたくなります。
なんか家に帰ったような気がするんです。前世、そこで働いてたんですかね(笑)」
そういうことが書いてあったけど、大昔酷いときは1日4回当社に血液検体が来て
3日に一度とか2週間に一度とか凄い頻繁に彼の検体はずっと来てた。
俺は昔ずっと彼の検体を集配してたために、彼の検体をまるで生きてる人のように扱ってた。
病院から預かったら何度もちゃんと本数があるか確認し受付に渡すときは彼のぶんだけ
しっかり手に握ってた。なんかほっとけないような気がずっといつもしてた。
至急の検査で呼ばれるたびに「頑張れ。頑張れ。すぐ結果はあがるからな」とずっと思ってた。

Sさんとはその後会うことはなかったけどなにか縁があったんだろうな
うちの会社に彼の検体が健康診断以外来ませんようにって祈ってる。